加藤(創)G
機能遺伝子の人為的導入による未知微生物の培養化
研究の概要
これまでに人類が分離培養に成功した微生物は環境中の全微生物種のうちわずか1%程度に過ぎないといわれる。環境中の微生物を分離培養できない要因は、微生物が住む自然環境と実験室内での培養環境との乖離にある。ロベルト・コッホによる微生物の純粋培養法の考案以来、従来の研究では実験室内での培養条件を自然環境に近づけることがそのほぼ唯一の解決策であった。しかし究極的には実験的に自然環境を完全に再現するのは不可能であり、未知微生物の可培養化の飛躍的向上には大きなブレークスルーとなるポストコッホ技術が必要不可欠である。申請者らはそのポストコッホ技術として、培養条件を改変するのではなく対象となる未知微生物のほうを人為的に改変することで可培養化する、という逆転の発想を提案する。本応募課題では、未知微生物を含む多様な微生物系統群に対する遺伝子操作技術の開発により、環境サンプル中の未知微生物に特定機能を人為的に付与することで分離培養を可能にする革新的な技術の構築を目指す。